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設計や製造の現場で培った専門知識や実務経験を強みに、セカンドキャリアとして選ばれることも多いISO審査員。「ISO審査員の仕事内容とは具体的に何をするのか」「未経験でもできる仕事なのか」といった疑問に答えるべく、ここでは審査業務の流れと仕事環境について詳しく紹介します。
ISO審査員とは、企業や組織のマネジメントシステム(品質・環境・情報セキュリティなどを管理する仕組み)が、ISO規格の要求事項を満たし、適切に運用されているかを審査・評価する専門家のことをいいます。
ISO規格とは、スイス・ジュネーブに本部を置く国際標準化機構(ISO:International Organization for Standardization)が定めた国際規格のことで、そのうちマネジメントシステム規格は、組織が品質や安全、環境などを継続的に管理・改善していくための枠組みを示しています。第三者の立場から適切に審査が行われることで、組織の取り組みの信頼性が保たれ、取引先や消費者が安心して製品やサービスを利用できるようになるため、ISO審査員の役割は重要です。
ISO審査員の仕事内容は、大きく「審査前の準備」「現地での審査」「報告書作成とフィードバック」の3つのフェーズに分けられます。それぞれの段階でどのような業務を行うのか、順番に見ていきましょう。
審査の前に、対象組織から提出されたマネジメントシステムのマニュアルや手順書、過去の審査報告書などの資料に目を通します。
ここで組織の業務プロセスや管理体制の概要を把握し、現地審査でどこを重点的に確認すべきかを見極めます。審査リーダー(主任審査員)は、審査範囲や日程、各審査員の担当を決めた審査計画を立て、審査先との調整を行います。審査メンバーは審査計画を確認し、自分の担当範囲の準備を進めます。
現地審査では、実際の職場を訪問し、経営層や担当者へのヒアリング、作業現場の観察、記録・文書の確認を並行して行います。
「マニュアルに書かれている手順が、実際の現場で本当に運用されているか」を照らし合わせて確認するのが審査業務の核心です。担当する規格や組織の規模によって異なりますが、全国に拠点を持つ大きな組織では、複数の審査員が1〜2週間ほどかけて各地の拠点を審査することもあります。
審査で確認した内容は、審査報告書にまとめます。審査の所見には、規格の要求事項を満たしていない「不適合(重大な不適合・軽微な不適合)」や、改善の余地がある「改善の機会」などがあり、最終会議(クロージングミーティング)で経営層や担当者に伝えます。不適合が見つかった場合は、組織が修正や是正処置を行い、審査リーダーがその内容を確認します。
ここで大切なのが、審査員は第三者として公平な立場を守る必要があるという点です。改善の機会を示して組織に気付きを与えることは審査の付加価値になりますが、その組織に合わせた具体的な解決策を提案することは、コンサルティングにあたるため行いません。不適合の根拠を丁寧に説明し、組織が自ら改善に取り組めるよう納得してもらう力が、審査員としての評価を左右します。
審査結果は、審査に関わっていない判定委員などによるレビューを経て、認証の可否が決定されます。
参照元:第三者適合性評価活動とコンサルティング|日本認定機関協議会(https://www.nite.go.jp/data/000158617.pdf)
参照元:JQA マネジメントシステム審査登録規則|一般財団法人日本品質保証機構(https://www.jqa.jp/service_list/management/pdf/regulation_rules.pdf)
参照元:ISO審査員の将来性や年収|ISOコム株式会社(https://isocom.co.jp/wp/?p=3017)
ISO認証の審査は、一度合格すれば終わりではありません。初めて認証を取得する際の審査は、文書や準備状況を確認する第1段階と、実際の運用状況を確認する第2段階の2段階で行われます。認証取得後も、原則として年1回のサーベイランス(定期)審査と、3年ごとの再認証(更新)審査が続きます。そのため審査員は、同じ組織の成長を継続的に見守っていくことにもなります。
現地審査の1日は、関係者へのヒアリングと、文書・現場の確認作業を行き来しながら進みます。ここでは、審査最終日の流れを例に紹介します。
審査初日は、審査の目的や範囲、日程を確認する初回会議(オープニングミーティング)から始まります。複数日にわたる審査では、その日の審査が終わった後に、審査チームや組織の担当者と進捗を共有することもあります。
ISO審査員は、審査先の事業所や工場を訪問して仕事をするため、出張や移動の多い働き方になります。ここでは、ISO審査員の仕事環境の特徴を紹介します。
現地に赴いて確認する必要があるため、営業所や支店、工場など各地を回って審査を行います。移動が多く、審査の前日からホテルに宿泊することも珍しくありません。
審査時の服装はスーツなどビジネスシーンにふさわしいものが基本で、工場などの現場に入る際は安全靴やヘルメットの着用を求められることもあります。大規模な審査では複数の審査員がチームを組んで担当することも多く、経験の浅いうちは先輩審査員と同行しながら実務を学んでいくのが一般的です。
あちこち飛び回っての活動になるため、ある程度アクティブに動ける体力が必要です。また、飛行機や新幹線、電車、バス、宿泊施設を効率的に組み合わせ、無理のないスケジュールを組むスケジュール管理の力も求められます。
ISO審査員は、経験を積むことで段階的にステップアップしていける仕事です。ここでは、審査員になるまでの流れと、その後のキャリアの広がりを紹介します。
ISO審査員になるためには、ISO規格の知識を身につけ、審査員研修コースに合格し、JRCAやIRCAといった審査員登録機関に登録する必要があります。そのうえで認証機関に所属・契約し、トレーニングや先輩審査員への同行を経て、審査員として活動できるようになります。
ISO審査員には、審査員補から始まり、審査員、そして審査チームのまとめ役である主任審査員(審査リーダー)へと進むグレードがあり、現場で審査実績を積むことで上位のグレードを目指すことができます。
ISO審査員のキャリアは、専門知識の深化と実務経験の積み重ねにより、多様な方向に広がっていく可能性があります。
最後に、ISO審査員の仕事内容について、これから目指す方からよく寄せられる疑問にお答えします。
A. 審査そのものには専門知識と研修が必要ですが、審査機関によっては、入社後に研修を受けながら審査員資格を取得し、実務を覚えていく体制を整えています。設計・製造・品質管理・システム開発など、前職の実務経験を活かせる場面が多く、異業種からのキャリアチェンジも珍しくありません。
A. 組織の規模や規格によって異なりますが、大規模な審査では複数の審査員がチームで担当することが多く、経験の浅い審査員は先輩審査員と同行しながら実務を身につけていきます。
A. 多くの規格では、学部が文系か理系かよりも、目指す分野での実務経験が重視されます。たとえばISO9001の場合、JRCAの登録要件は常勤での実務経験年数と品質マネジメント分野での実務経験で、学部は問われません。一方で、ISO13485(医療機器)のように特定分野の学位が求められる規格もあるため、目指す規格ごとの登録要件を事前に確認しておくと良いでしょう。
当メディアでは、未経験からでもISO審査員になる方法を紹介しているので、これまでの経験を活かした転職先候補を探している方は、ぜひ参考にご覧ください。
引用元:BSIグループジャパン株式会社公式HP
https://www.bsigroup.com/ja-JP/about-bsi/careers/
創業120年の歴史と実績を持つ国家規格協会「BSI」の日本法人である「BSIグループジャパン株式会社」(以下BSIジャパン)マネジメントシステム審査登録、医療機器認証サービス、ISO規格を中心とした研修・トレーニングなど幅広いサービスを提供しています。
BSIジャパンの社員は全員中途で、20から60代と幅広い年齢の方がこれまでのキャリアを活かして活躍しています。ISO審査員の資格がなくても、関連業界・関連分野での専門知識・一定期間の業務経験があれば、入社後の審査員を目指すことが可能。そのサポート体制も充実しています。